百の四
君を待つ
里蔵 光
君を待って居たんだ…
曾て、多くの光に魅かれ
其の悉く裏切られた
七度闇を見て来たが
真青な闇は未だ知らなかった
七つ目の闇から這い出して
不図目を挙げてみたら
其処に在ったものは
真白な光
君を待って居たんだ
最初は、
其の純白の光が何なのか判らず
今迄の黄色掛かった不透明な光と
区別しなかった
そして、闇を恐れるがあまりに
其処から逃げ出した
所が夜空の月の如く
其の光は追って来る
百里、千里を走るうちに
漸く其に気が付いた
君を待って居た…
そして、軈て訪れた
蒼い闇、真青な
闇より遥かに辛い
闇より遥かに厳しい
其の青闇
君を…
三度
這い上がるべく綱を投じた
然し其は外れ、
或いは光が僅かに身を躱し
遂に光を掴めなかった
そして、到頭光に別れを告げた
君を待つよ
君の人生の中で、俺程君を愛せる男は居ない
俺の想いは一生消えない
でも、君の結婚式迄には
きっと此の想いを封印するから
結婚式には呼んでくれよ
其の時、
すっかり変わって、
君の
前に
立つよ
そんな言葉、言いたくなかった
身を焦がさんばかりの此の想いは
次の一言に一片に凝縮されて
別れの挨拶の直前に
口を割って飛び出した
気が変わったら、何時でも連絡しろよ!
此の封印を君の手で解いてくれ
何時の日か、きっと…
君をずっと待って居る…
永劫………
(つゞく)