百の六
約束の電話

里蔵 光

いつ、電話くれるのかな

僕は泣かないで、ずっと待ってる

来週、映画見に行くんだよね

君の電話、待ってるよ

 

あしたは、やだな

あしたは、家に居ないよ

留守電じゃ寂しいから

明後日にしてね

 

今日は忙しかったのかい?

今日だと思ったのに

僕は何時でも出るよ

だから掛けて欲しかった

 

正直云って辛かった

死にたくなった

……ちょっとだけ

 

大丈夫だよ、死なないよ

鬱病は、隨分軽くなったみたい

もう君を困らせない

大丈夫

大丈夫だよ

 

子供みたいな仕種と声で

君が僕に甘えてるみたいで

少し嬉しかった

でも矢っ張り、男友達の一人に過ぎない事が判って

寂しくもあった

誰にでも、最近は

あゝなんだね

 

屹度待ってるよ

君が大好きだから

愛してるから

友達だけど……でも愛してる

友達已上に…………

ムリかな

 

今、愈本心が判らない

此れだけは、云っておこう

心の底から伝えよう

 

――愛してる!

(つゞく)