百の七
The LIGHT オムニバス

里蔵 光

The             
L I G H T
~光の実態に迫る~

 貴方は光とは“波”だと思うか? 其とも“粒”
だと思うか? ひょっとしてそんな事は、考えた事
も莫いと云うかも知れない。其なら、光とは何か此
から一緒に考えて行くとしよう。

 詰り、光のエネルギーは次の様に表せる。
     E=hν
 νはニューと読み、光の振動数である。hは比例定数で、プランクと云う人が発見した定数だから プランク定数 と呼んで居る。そして測定の結果、今では h=6.626×10-34[Js] と云う事が解って居る。

 波動説を説いて來た学者たちに拠れば、エーテルは宇宙空間全体に均一に存在して居て、其を媒介として光波が伝わると云う。
 然し、そんな物が宇宙に充満して居るのなら、空気中を進む物体が風を切る様に、エーテル中を進む物体も何かしらエーテルの存在を感じる筈である。エーテルの中を行く地球から見れば、エーテルは地球に対して流れて居るのでエーテルを観測出來る筈であるのに、今まで一度もそんな物を観測したと云う報告はされて居ない。大体、エーテルの中を地球が走って居るとすると、地球の進行方向の裏側でエーテルが渦を巻いて光の伝達の仕方が変わってしまったりする筈だ。然し、そんな現象も認められては居ない。而も光速はエーテルに対する速さと云う事になるが、そうすると運動する向きや速さによって、光速は変わって仕舞う。

 
 光速度不変? 

 アインシュタインの導き出した合成速度の公式を次に示す。

V = (v1+v2)/(1+v1v2/c^2)         v1 と v2 の合成速
       を求める式。c は光速。

 然し、其では今迄のニュートンの合成速の式は、間違いだったのか――と云うと、日常起こり得る現象を説明するのには、其で充分なのだ。例えば、v1=3[m/s]、v2=5[m/s] として、アインシュタインの式に中て嵌めると、

V = (3+5)/(1+3*5/c^2) = 8/(1+15/c^2)

 となるが、一体 15/c^2 とは、何の位だろう。

   Section3. まとめ

 まあ、そんな訳で大体の話は済んだ。纏めると、

☆ 光は波と粒子の性質を併せ持つ不思議な物体である。
☆ 光速に近付くと時間が伸びて、光速に達すると時間が止まる。
★ 光速に近付くと長さ(物体の進行方向の距離)は縮み、光速で0
  になる。
★ 光速に近付くと、質量が増加し、光速では∞になる。

 三つ目のロレンツ短縮に就いては、座標変換の説明や時空図等から始めねばならないので、次の機会にする。其の時にロレンツ短縮で一冊作る積りなので、楽しみに待って居て欲しい。また、四つ目に就いても、何れ折を見て、説明するとしよう。取り敢えず今回は、こんな所である。

†† 参  考  図  書 ††

《Blue Backs》  講談社
  B 606 『物理のABC』    福島 肇
  B 762 『光で語る現代物理学』 小山 慶太
  B 701 『10歳からの量子論』  都築 卓司


検 印

廃 止








奥  付

初 版 1993. 9.29 発行
第二版 1993.10.22 発行
第三版 1994. 1.31 発行
第四版 1995. 2.00 発行

制作者/杉本 芳記
責任者/杉本 芳記
原稿/SHARP WD-SR5L (UNIV.TOOL)
印刷/東京理科大学理工学部のコピー機

(つゞく)