百の九
人生是麻雀 其の一
里蔵 光
賽は振られた。1と3。左四である。私は、自分の山の右から四つ目を割り、ドラを反した。カタンと音がなり、西が反った。ドラは北。私の風である。私はいきなり、奮起した。
配牌は、以下の通り。

かなり遅い手である。
親の第一捨牌が、西。次いで対面が、南を捨てた。云うまでもなく、こんなところでオタ風を啼いたりはしない。次いで上家が、九索を切り、私は、中を落とした。
「ポン!」
親が一啼きしてきた。早栄和りにかけてきているようだ。
私は、六萬、七索、八萬と、続けざまに引いてきて、三色の目が濃厚になっていたので、親の特急券には目もくれず、ひたすら手牌を伸ばすことだけに専念していた。そして、北を引いて止めていたら、対子になったので、南の対子を落とし、

ここで、場に二枚出ている白切りの立直。八索で栄和らなければ、立直ドラドラで、高々5200点。自摸って、7700点であるが、八索が出れば、三色がついて、満貫、自摸れば跳満である。親は啼きすぎて、手を狭めているようなので、出るなら親からだと思った。
「リーチ!」
私が白を横に曲げ、千点棒を出そうとしたとき、
「ロン」
と云って、親が手牌を倒した。

白の単騎である。やられた! 立直不成立なので、私は千点棒を引っ込め、かわりに、12000点を、親に支払った。――これが私の、最初の失態である。
(つゞく)
96/11/18 (月) 03:30