昔の一面記事


初心者のための、星野写真の取り方講座 (97/09/20〜98/10/31)
  カメラ  オプション  撮影


初心者の為の、星野写真の取り方講座

(日大習志野高校物理部部誌「ケフェウスα」平成2年度版に掲載した原稿の加筆修正版)

 誰でもカメラで記念写真くらいは撮ったことがあるだろう。また、誰でも晴れた夜、空を見上げて星や月を見たことがあるだろう。今回は、そんな星空をいかにしてカメラに収めるか、と云ったことを書いてみた。心して読むように!

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カメラ  あなたは、カメラを持っているだろうか? 持っていたとして、それはどんなカメラだろう。AE(自動露出機構)、AF(自動焦点機構)等の装備が当たり前の様に付いていて、レンズ交換の出来ない、いわゆる「バカチョン」ではないか?
 AEは欲しくないが、AFはもっと要らない。試してみれば分かると思うが、AFで夜空にカメラを向けても、ピントが合わない。被写体の距離を測定するための赤外線が夜空に吸収されてしまい、返ってこないのだから、合うわけがないのだ。マニュアルモードへの切り換えが可能なら、切り換えて使わねばならない。
 それと、シャッタースピードの切り換えが出来ること。それも「B(バルブ)」と云うスピード(押下している間ずっと開きっぱなしになる)が莫いと、星の写真など撮れない。
 そしてレンズの件だが、これは広角と標準、望遠の3本あれば、充分撮ることが出来る(ちなみに私の場合、38mm、58mm、135mm の3本である)。但し、ズームレンズ一本で済ませようというのは頂けない。これは中にレンズが何枚も入った多重構造なので、どうしたって像が暗くなってしまうので満足のいく星野が撮れないばかりか、収差も普通のレンズより大きくなり、それらを克服しているズームレンズとなると、かなり高価な物になってしまう。また、軽い力で焦点距離を変えられるスライド式のズームがあるが、そう云った物は天頂付近を望遠で撮影しようとすると、筒の重みでズルズルとずり落ちてきてしまう。こう云ったレンズを無理やり使うべく、ビニールテープやガムテープでぐるぐる巻にしていた奴が昔知り合いに居たけど、後でレンズがベタベタになってしまったり、いくらテープで止めても長い時間が経てば、やはり少しずつずり落ちてきてしまうので、勧められない方法である。

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オプション  カメラについて一通り書いたが、他にも必要なものがある。――そう! カールのチーズ味! これがない撮影など、あんこのない最中と一緒である! ……ちっ……ちがくてぇ……そうじゃなくて…… (^^; 最低限必要な物とは、当然だがフィルム、それに三脚とレリーズだ。
 フィルムは、星野写真では感度が 400 以上でないと厳しい。水素増感という手もあるが、初心者は取り合えず、400 のフィルムを買っておけば間違いないだろう。でないと星がほとんど写らない、真っ黒な写真ができ上がってしまう。
 三脚はカメラを長時間固定しておくのに、絶対に欠かせないものである。
 レリーズが無いと、シャッターを切る度にカメラが動いてブレてしまう。ほら、そこで「僕ならブレさせずに手でシャッターを切れるよ」なんて、根も葉もない自信でうそぶいている人! 寒空の下、20秒、30秒と手でじっと押さえているつもりでもない限り、諦めて買いなさいって(笑)
 また、あると便利な物として、自由雲台と、赤いセロハンなどを貼った懐中電灯がある。
 自由雲台があれば、撮りたい星野の方向に、スムーズにカメラを向けることが出来る。
 懐中電灯に赤いセロハンを貼るのは、撮影中に点灯するとき白光のままだと強すぎて、写真に影響してしまうから。――まあ、あまり撮影中には、赤光だと云え、点けない方が好いだろう。やむなく点けるときでも、手でカメラの方に光が行かないように気を配るぐらいのことはした方が好い。また、カメラの正面で点けるなどは、絶対禁物! せめて、後ろに回るようにしよう。
 たとえ撮影していなくても、白光は良くない。暗闇に慣れた目には刺激が強すぎる。それに、一旦その明るさに目が慣れてしまうと、消したときに辺り一面が恐いくらいに真っ暗闇になってしまう。迂闊に足を動かせないし、見える星もグンと少なくなって、再び暗さに目が慣れるまで、大変である。
 近くで撮影している人がいるときは、いくら赤光でも「電灯点けて好いですか?」と声を掛けるのが常識。まして白光をいきなり「びかっ!」と点けたりした日にゃあ、トイレに呼び出し喰らったりしかねないので、要注意(笑)

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撮影  これで準備は出来た。あとは実践あるのみ! ――と云っても、撮り方が判らないだろう。ただ、お空に向けてシャッターを「ぱしゃっ」と切りゃ好いってもんじゃない。そんなことしたって真っ黒な写真しかでき上がらない(笑)
 まず、シャッターの押しボタンにレリーズを取りつける。そしてシャッタースピードを「B」の表示に合わせ、撮りたい星野にカメラを向け、ピントを「∞」にして、絞りを周りの状況により1〜2つくらい絞り込んで、シャッターを「ぱ」と開ける。広角で30秒くらい、望遠で10秒くらいそのままにしてから,「しゃっ」と閉じる。あまり開けすぎると星が流れてしまう。
 開放時間はあくまで目安であり、レンズの焦点距離によっても違うし、方角によっても違う。焦点距離が長いほど、また、天の赤道付近に近付くほど、星の流れは大きい。この辺りの感覚は、何度も失敗を重ねるうちに、だんだん分かってくるものだ。
 あとは、面白さが分かってきて、上手くなってくれば、固定撮影だけじゃつまらなくなるだろう。そうなれば望遠鏡や追尾モーターの付いた赤道儀を買って、また、フィルターや現像などにも手を掛けて、惑星、星雲や星団なんかを追尾で何分も掛けて撮れば、M31(アンドロメダ大星雲)や M42(オリオン大星雲)、M45(プレアデス星団:昴)などを、綺麗に撮影することが出来るだろう。

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