三反箒のへたくそ天文学

 
星見の心得普及友の会必読! 観測時の心得
 
膨張する宇宙(前編)
  宇宙の大きさって?  有限で果てがない?  宇宙の外側?
 
昔の一面記事
 
日本から見れる今後の日月蝕
 
ごめんなさい。「毎月の星空」は暫くおやすみしています……
 

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膨張する宇宙
〜前編〜


 ある人に、僕のサイトの紹介文で、「宇宙物理学の記事がないのが寂しい」と云うようなことを書かれちゃいまして……じゃあ、一面記事の2作目はこいつで行くかなと、あっさり決定した次第です。
 云い訳だけど、僕は別に宇宙物理学専攻したわけではないので、はっきり云って素人レベルです。正確には「ブルーバックス・レベル」です。しかも最近本を読んでないので、一昔前の知識レベルで恥をかくかもしれないです(笑)
 だから、まあ、今回もあんまり期待しないように。嘘書いてあっても許してください。指摘は好いけど文句はやめてください(笑)

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宇宙の大きさって?

 ニフティの FSPACE と云うところで好く話題になることの一つに、宇宙の大きさというものがあります。
 宇宙は大きいの? 大きいって、どのくらい? 無限なの? 果てはあるの? 宇宙の終わりのその向こうには何があるの? 無限の大きさってなんだかわかんない…… 無限じゃないけど果てが無いってどういうこと? 宇宙の外側は? 内側は? 宇宙って……
 質問のレベルはピンキリです。全くなんの予備知識も無い、いわゆる一般の人の説明から、大学でちょっとかじってきた人、一般書籍で知識を仕入れてきた人、他人から伝え聞いてきた人、テレビで触発された人、果ては、トンデモ本を妄信してしまった人……トンデモ本に関しては、ここでは解説しませんが、とにかく、大抵誤解を抱えて質問に来られる方が圧倒的多数です。しかもその誤解を強く信じていたりすることも多々あるわけで、そうすると説明にとっても骨が折れます。それでも、説明するのが好きなんですけど。
 まずは、ごく基礎的なところからいきましょう。曰く、宇宙の大きさは有限なのか、無限なのか。
 実はこれ、未だに解っていないことなんです。無限大かもしれない。有限大かもしれない。それを決定するのは「宇宙の全質量」なのですが、残念なことに宇宙には「目に見えない物質」が山のようにあります。満天の星空に輝く星達、ぼんやり見える散光星雲などの他に、可視光線を吸収してしまう暗黒星雲、電波のみを発する電波星。それだけならまだ、ある程度の予測は付きますが、それでもなお説明の付かないことがあります。
 我々の銀河系、その自転の仕方に、ちょっとおかしなところがあるのです。目に見える恒星や星雲、電波などの観測でかかる天体などを総合しても、自転の仕方がシミュレーションと合いません。どうも、円盤は我々が観測している物を遥かに越える質量を、その薄い板上に、その周りに、沢山抱え持っているようなのです。ゆっくり過ぎるのです、周辺部の回転の仕方が。だから、そこには必ず何者かが在る。それを宇宙物理学者たちは「ダークマター」と名付けました。見えない質量です。
 ダークマターの正体については、諸説紛々で、茶色矮星であるとか、大量の素粒子であるとか、ミニブラックホールであるとか、ハテはモノポール(単極磁石)かもしれないなど、まあ好き勝手にいろいろ云ってるわけですが(実際にはそれなりの根拠の上に云ってるのでしょうが)、ここではその正体を云々するのは止めておきましょう。
 このダークマターの総量が、ある量を越えてしまえば、宇宙は有限になります。そこに届かなければ、宇宙は創造した瞬間から無限大です。無限にも大きさがあるのですが、まあ、そう云う数学的に突っ込んだ話もここでは控えて、取り敢えず無限・有限の二者に絞って話を進めていくことにしましょう。

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有限で果てがない?

 ダークマターがある量を越えて存在したとします。そうした宇宙を「閉じた宇宙」と呼びます。閉じた宇宙は、有限の大きさを持ちます。――しかし、果てはありません。それは「地球が有限なのに果てが無いのと同じ」なのです。
 四次元空間を思い浮かべてみてください。そしていきなりですが、球の定義を説明します。
 二次元の球は、円です。中心があり、中心から等距離にある点の集合が、円周を作ります。
 三次元の球は、球です。中心があり、中心から等距離にある点の集合が、球面を作ります。
 四次元の球は、超球です。中心があり、中心から等距離にある点の集合が、超球面を作ります。
 我々の宇宙はこの「超球面」です。四次元は想像しにくいでしょうから、次元を1個おとして考えてみてください。我々の世界が二次元であると云うことにします。宇宙は二次元空間です。すると、三次元の球面を思い浮かべるだけで良いという事になります。
 この球面が、我々の宇宙です。大きさははっきり有限だと解るでしょう。球面積は中学三年生なら簡単に計算してくれます。そして、果てが無いのもうなずけるはずです。未開文明のブッシュマンは、地球の果てを信じていましたが、我々は無粋なる科学によって、その夢を剥奪されてしまったのですから。
 地表をずっとまっすぐ進んだなら、測地線(いわゆる最短経路)を描いて元の所に戻ってくるでしょう。
 宇宙空間をまっすぐ進んだなら、やはり測地線を描いて元の所に帰ってくるはずです――もっとも、現実にはそれは遠すぎる道程であるので、実験によって確かめることは「光でさえも不可能」なのですが。

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宇宙の外側?

 さて、こう云う説明をすると必ずと云って好いほど、「じゃあ、外側には何があるの?」と云う発想をしてしまいます。地表を離れれば宇宙空間があるじゃないか。それなら、超球の表面である宇宙を離れれば、そこには「超宇宙」と云うようなものでもあるんじゃないのか? 無くちゃおかしいだろう。あるはずだ。あるんだよな? ――残念ながら、そう単純には行かないのですね。気持ちはよく判るのです。しかし、我々の世界は三次元空間であると云うことを失念してしまってはいけません。
 超球というのは飽く迄説明の便宜であり、方便であり、物の例えです。実際にそんな「超球」が存在しているわけではありません。ただ、空間というのは質量によって僅かに歪みます。その歪み方を測定すると、曲率という値が出てくるのですが、それは半径の関数になっているのです。
 曲率が負だと半径が虚数です。それはつまり開いた宇宙ということであり、要するに無限の大きさをもった宇宙だということであり、非ユークリッド空間であると云う事になります。この場合「たとえ四次元を以てしても図形化できない」のです。図形化するにあたって特別なルールを導入しなくてはならなくなります。その辺はガウスの研究した非ユークリッド幾何の範疇になるので、ここで深くは突っ込みませんが、好いですか? 閉じた宇宙の場合「たまたま四次元でモデル化できちゃった」と云うだけのことなのです。実際に宇宙がそう云う「形」をしているわけではありません。
 宇宙の形を論じることは非道く無意味でもあります。我々にとって宇宙は空間の全てです。深海魚が海の形を気にかけるでしょうか? 蝶が大気の形で思い悩むでしょうか? モグラが大地の形という概念を持たないように、我々は宇宙の形は永遠に見定めることが出来ません。四角だろうが三角だろうが。
 逆に、宇宙の形がハッキリしてしまうということは、輪郭が発生するということで、それは「外側」を示唆してしまうということです。外側はあり得ないんです。もしも宇宙の向こうに何かがあれば、そこは空間であり、そこも宇宙であり、一続きなのです。輪郭は錯覚だったという事になります。
 宇宙の外側は、定義不可能なのです。と云うか、あり得ないのです。それが宇宙を論じるときの大前提です。

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